ピアソラ生誕100周年と没後30周年に向けて

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今年から来年にかけて、ピアソラの曲を特集したコンサートが日本で数多く開催されるようである。本年は、ピアソラ生誕100周年、来年は没後30周年にあたるからである。7月18日にはNHKでピアソラの特集が組まれ、『シンフォニア・ブエノスアイレス作品15』(1951年)の演奏を初めて聴くことができた。ピアソラ30歳の作品である。ピアソラは30歳の頃、クラシックの作曲家を目指していたのである。


ピアソラとの出会いは、クラシックギター曲からであった。アサド兄弟の『タンゴ組曲』の演奏をCDで聴いたことがきっかけであった。このギター曲も彼がクラシックの素養がなければ成立しない曲であったことはあきらかであろう。この曲の生演奏も武蔵野市民文化会館小ホールで聴いた。この演奏の衝撃は今でも忘れられないが、この曲の衝撃も大きかった。こんな曲は今までに聴いたことがない、という衝撃。その後、ピアソラのタンゴを聴くようになったのである。ちょうど沖縄での仕事を終え、東京に帰ってきた1985年頃からである。


1988年には、中野サンプラザで開催されたミルバとピアソラのコンサートを聴いた。このコンサートはおよそ20年後にCDとして発売された。よって、わたしの聴いたコンサートは生きている限り、反復して聴くことができるようになった。このコンサートは1984年にパリのブッフ・デュ・ノールで開催されたコンサートの日本凱旋公演である。その1984年、ブッフ・デュ・ノールでミルバとピアソラがパリでコンサートを行なっていた頃、わたしもヨーロッパを旅していたが、ちょうどパリで過ごしていた頃、このコンサートが行われていたのである。なにか不思議な縁を感じる。出会うべくして出会ったミュージシャンのような気がしてならない。


マルコ・ベロッキオ監督の映画『エンリコ4世』(ピランデルロ原作)の音楽をピアソラが担当しているが、わたしはこの映画音楽のなかで、映画のイントロで、車窓からの風景と重ねて流れてくる「REMEMBRANCE」という曲が気に入っている。名曲だと思うが、日本では演奏されるのを聴いたことがない。同じ映画内の曲「OBRIVION」の方はいまやピアソラの看板曲のようになっている。一度、「REMEMBRANCE」の生演奏を聴いてみたいものである。この曲はピアソラ独特の間をもった曲であるため、よい演奏にするには相当苦労すると思う。


ピアソラは今、理屈なく好きといえるミュージシャンの一人である。彼の音楽を音楽理論を含めて理解しなくてはならないのだろうが、そんなことはどうでもよいと思えるミュージシャンである。それは幸運にも生演奏を聴けたことが大きかったのかもしれない。そうしたミュージシャンを今後一人でも多くつくりたい。ピアソラを特集した日本でのコンサートにも機会があれば出かけたいと思っている。


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by kurarc | 2021-07-20 19:30 | music(音楽)