映画『TOVE』をみる

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映画『TOVE』をみる。ムーミンの生みの親、トーべ・ヤンソンの半生を描いた映画である。日本で最初にTVアニメのムーミンが始まったのは1969年ということのなで、わたしはその第1世代に属する。その当時、何冊かの絵本も買ったし、いまでもアニメの途中に流れるメロディー(スナフキンのテーマだと思う)も口ずさむことができるほど、毎週テレビをみていた記憶がある。


ムーミンのアニメに熱中したのは、きっと様々なキャラクターが登場し、物語を展開させたことや、ムーミン谷という空間とムーミンの住まいに対する憧れがあったからだと思う。今思えば、子供にとって一つのユートピアのような空間であった。


その生みの親であるトーべ・ヤンソンについては、どのような女性であるのかまったく知らなかった。この映画はフィクションであるということだが、その実像の一端を知ることができたように思う。端的に言えば彼女は自由に対し誠実に生きた女性であったようである。恋愛においても男女に区別をつけることはなく、破局したのちにも付き合いを続けていくという大らかな性格をもっていた。一方、画家として身をたてたかったことには挫折し、保守的な彫刻家(芸術家)の父親の態度にも悩んだようである。


この映画は、むしろ、そうした一面を取り上げ、トーべ・ヤンソンとはどのような女性であったのかを描くことを中心としている。わたしは、ムーミンがいかに生まれたのかについて描かれている映画とばかり思って観に行ったが、その期待は裏切られた。しかし、それはよい意味での裏切りで、トーべ・ヤンソンの未知の一面を知ることができ、益々ムーミンの物語を知りたくなった。こうした彼女の生き様が、実はあの穏やかなムミーンの世界にこっそりと描かれていることを知ったからである。


彼女は絵画、風刺画、アニメ以外にも、短編小説も著している。小説については、どのようなテーマを扱っているのか気になる。翻訳されていれば読んでみたい。また、彼女がスウェーデン語系フィンランド人であることも、彼女の創作になんらかの影響があるのかもしれないが、そのあたりはフィンランドの歴史への理解を深めないとわからないかもしれない。


by kurarc | 2021-10-03 10:20 | cinema(映画)