沖縄の旅-03 2021年11月2日

沖縄の旅-03


11月2日、ようやく今回の主目的であった馬天小学校の見学会へ午後から向かうが、午前中は、ガイド役のO君、今回車を手配してくれたA君(末吉研究室OB)とGさん(末吉研究室OG)と合流して、まず奥武島へ。O君によればこの島は古い集落の形態を保っているという。奥武島の古い集落は、島中央南側にある観音堂、嶽(うたき)に開くように住居が立ち並び、南に面する街路から住居にアプローチするように配列されている。島にはてんぷらで有名な中本てんぷら店があり、こちらでてんぷらをいくつかつまんだ後、昼食のため「さちばるやーどぅい」へ。


こちらはA君の紹介で行くことに。「さちばるやーどぅい」は、さち(崎)にあるばる(原)のことであり、やーどぅいは、首里から地方に散らばった士族が新たな生活拠点のために切り拓いた集落を意味するという。ここには海に面した丘に7つの施設がある。茶屋(レストラン、カフェ)、庭、宿泊施設などすべて住宅スケールの建築が点在している。この中で、「山の茶屋」で昼食をいただく。岩肌が露出したレストランであり、ここで使われる食材の多くを自らオーナーらが育てているという。ある種、ユートピアを思わせる施設群であった。(下写真 「浜辺の茶屋」)



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午後からようやく馬天小学校の見学へ。末吉研究室OBであるT君、S君(末吉先生の息子さん)も加わり、総勢6名での見学である。コロナ禍ではあったが、生徒たちが授業をしている教室内部まで見学が許された。6名で語り合いながら内部を見学。内部を見学するのは36年ぶりのことであった。教室の窓から見える馬天港の海(下写真)が眩しく、この小学校が建設された場所が好立地であることを改めて気づかされた。今回特に目についたのは、学校の中心に配置された図書室である。断面も非常に豊かで、落ち着いた図書室であった。東京で小学校の中心に図書室を配置しているところはどれほどあるだろうか。多分、存在しないのではないだろうか。こうしたプランをつくることが建築における思想というものである。残念だったのは、設えられた外部スペースが有効に使われていないことであった。床がタイル貼りなど硬いことが小学生には使いづらいのかもしれない。沖縄でウッドデッキはシロアリの問題もあり難しいのかもしれないが、外部スペースは裸足でも使用できるくらいの柔らかさがあった方がよいのでは、と思わされた。今回小学校の校長先生や教頭先生らの許可がなくてはこうした見学会は開くことはできなかったが、先生方には大らかな対応をいただけたことを深く感謝したい。(下写真で奥に見える体育館は建て直されたもので、末吉研究室の設計ではない)



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小学校見学後、近くの垣花ヒージャー(下写真)に立ち寄った。水量の豊富なことで知られる井泉である。急な石段を降りた場所にあり、地元だけでなく、那覇からもこの水を汲みにくる人もいるという。かつては男性と女性が使用する場所がそれぞれ定められていた。この後、帰り道にあった新川公園(末吉栄三さんの計画)を見学し、夜は沖縄の建築家であるYさん宅にて夕食を囲みながら建築、都市、集落、旅などの話に花を咲かせた。Yさんは石垣島出身であることもあり、石垣島の史跡であるフルスト原(ばる)遺跡の特異性や石垣島の集落の領域(海から山までという連続した領域を集落とする)について説明してくれた。フルスト原遺跡の整備計画は末吉研究室が何十年にもわたり関わってきた。15世紀八重山の豪族であったオヤケアカハチの居住跡とも推測されており、今後、この遺構の研究の深化に期待したい。


P.S.

沖縄では集落という空間、建築形態が都市部においても身近に感じられる。先日、改めて原広司さんの著書『集落への旅』(岩波新書)を読み直した。新書にしては難解な著書であるが、再度、集落とは何かが気になりはじめた。また、集落と道(街路)の関係についても。原さんの著書で「コンパウンド」という形態で記述される集落がある。住居が複数集合するが、集合した領域の内部に街路はない。たとえば沖縄の備瀬の集落(写真最下)もフクギで一件一件囲まれ、その集合体としての集落だが、フクギとフクギの間は街路のように見えるが、もしかしたら、その集落の初源時には街路ではなかったのかもしれない(街路という意識でつくられたスペースではなかったかもしれない)、などと想像できなくもない。沖縄ではそのような想像が喚起されるのである。街路と集落、あるいは、街路の発生と都市について根源に遡行し、考察しておきたくなった。この点について、原さんの著書には記述がなかった。



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by kurarc | 2021-11-11 20:54 | 沖縄-Okinawa