北極星 Polaris

古代の都市の方位について調べていると、必ず出くわすのが北という方位への信仰である。北の方位を知るために重要な役割をになったのは北極星である。この星にリアリティをもつために、初めてプラネタリウムに行って確かめてきた。多摩六都科学館(東京都西東京市)にあるプラネタリウムである。ここのプラネタリウムは投影機CHIRONⅡ(ケイロンⅡ)を使用するが、1億4000万個を超える星々を映し出すことができ、世界一に認定されている。直径27.5mのドームに映し出された星々は圧巻で、東京に住んでいたのではこうした夥しい数の星々には巡り会うことはできないのは言うまでもない。このプログラムの中で北極星も登場し、基本的な知識を身につけることができた。

地球の自転軸の真北方向の無限延長上に存在する星が現在の北極星ポラリスであるが、地球の自転軸の角度は日々変化していくので、約8000年後にはデネブが、約1万2000年後にはベガが北極星になるという。また、およそ4800年前はトゥバンが北極星だった。現在の北極星の位置にもどるのはおよそ2万6000年後になるのだという。

日本の古代の都市が北を優位に考えたのは古代中国の影響である。古代中国では世界を支配する天帝は北極星と同一視され、宮殿は防衛上不利になるにもかかわらず北端に置かれた。(日本では藤原京のみ都市の中心に置かれた。これは『周礼』に従ったためだという)古代中国の宇宙論では、「天円地方」といい、大地は正方形で、その上にお椀をかぶせたような丸い天が覆っていると考えられた。

ここで注意したいのは、平安京の時代、今の北極星は天の北極から10度近くもずれていたということである。しかし、日本の古代都市の方位はそれほど大きなズレはないということである。つまり、今現在の北極星ポラリスを基準にして真北を断定したのではなく、太陽や周極星(当時の真北に最も近い星)などの観測(その両方かその一方の観測からかは現在不明)から真北を断定したと考えられている。
(以上、『ユーラシア古代都市・集落の歴史空間を読む』(宇野隆夫編著より)

*南半球には、北半球の北極星にあたるような星が存在しない。古代中国の宇宙観は北半球という場所から生まれた宇宙観と言えるのかもしれない。逆に南半球ではどのような宇宙観が生まれたのか?今後の宿題である。

*なお、現在の北極星の位置の探し方には、ふた通りの簡便な方法がある。以下の図のとおり、北斗七星とカシオペヤ座から類推する方法である)

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by kurarc | 2021-11-28 17:19 | nature(自然)