ジャズ理論の再学習

ジャズ理論をはじめて学んだのは、大学1年の頃、およそ40年程前のことである。今はすでに存在しない調布の武蔵野音楽院でジャズギタリストのT先生(渡辺香津美さんのお弟子さん)に師事した。しかし、まったく理解できず、挫折してしまった。以前にも書いたが、40年前には現在入手できるような入門者用の教本はなく、渡辺貞夫さんの『JAZZ STUDY』といったプロ向けの教本しかなかったのである。T先生の講義ノートも手元にあるが、今改めてみると何をやってくれていたのかわかるが、当時はその意味まで理解できなかった。そうしたわたしを見かねてなのかわからないが、講義よりむしろ演奏のコピーを重点的に行った。それでも、音楽の勘の良い人であれば理論を習得できたのだろうが、わたしはダメであった。それがトラウマとなり、以後JAZZから遠ざかってしまった。

もちろん、まったくジャズを聴かなくなったわけではなかったが、40代後半になってトランペットに魅力を感じたのがきっかけで再度ジャズ理論を学習しはじめた。しかし、ジャズ理論は相変わらず難解であり、概要といった程度しか頭に入らなかったし、深い理解には到達できなかった。そうした状況を打ち破ってくれたのが、昨今のYou tube上での講義、解説である。

ジャズギタリストの宇田大志さんのYou tube上での講義など、非常にわかりやすく、ジャズ理論の習得に役立っている。サックス奏者の菊池成孔さんの講義本やジャズピアニストのフィリップ・ストレイジ(岡田暁生さんとの共著)さんらの解説本も読了したが、これらの理解をさらに深めるべく、今年度はさらにリアルにジャズ理論をマスターすることを目標にすることにした。曲のコード進行からアナリーゼ(分析)ができ(曲の構造を理解すること)、それぞれのスケール(モード)が頭に浮かんでくるようになること、さらにギター上でそのコードが弾けるようになること、つまり、演奏はプロのようになることは不可能であるから、それ以外ではプロの音楽家と同等のレベルまで近づくことを目標とすることにした。

*以上のような学習で注意すべきことは、菊池成孔さんが論じているように、音楽を記号操作、記号的な情報操作としてとらえていくことである。ジャズ理論は一方でそうした負の価値をもつことを常に相対化しながら学習していく必要がある。



by kurarc | 2022-04-26 23:33 | music(音楽)