"musics" 音楽の複数性


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音楽について相変わらず探求を続けている。今日は、近所の図書館から『西洋音楽の正体 調と和声の不思議を探る』(伊藤友計著、講談社選書メチエ)を借りてきた。

この著書の冒頭、「はじめに」で伊藤氏は興味深いことを述べている。通常、不可算名詞であるはずの”music"という英単語が、最近の音楽研究者の著書、論文の間では、”musics"という複数形として記述されている、というのである。

例えば、民族音楽学(Ethnomusicology)という学問を切り開いたブルーノ・ネトル氏や、ポニー・C・ウェイド氏、さらに、スーザン・マクレアリ氏の論文の中でも、"musics"と複数形で表記されているそうだ。実際、こうした表記が発生するのは、当たり前のことだが、音楽は世界のいたるところにあり、同時に文化も異なる領域から生まれ出てくるという認識が浸透したからであると思われる。ワールド・ミュージックというような言葉が以前、浸透したように、音楽の「複数性」は当然となり、研究者の間においても共通感覚として認識されるようになったからであろう。

こうした認識の進化、変化に対して、辞書への反映、フィードバックが未だに追いついていないということのようである。こうした流れを一方で感じながら、わたしのように普通の義務教育の中で当然のことのように受けた西洋音楽を疑い、深いところで考え直したいと最近思うようになった。その中心テーマの一つが、「調性」あるいは「和声」である。

本書を読めば、これらのテーマがかなり深く理解できそうであり、今から読むのが楽しみである。これと並行して、ジャズの学習を続けることも忘れてはいない。

*伊藤友計氏は、ラモー著『自然の諸原理に還元された和声論』の翻訳者である。

by kurarc | 2022-07-12 17:09 | music(音楽)