ビーツのサラダ 完本檀流クッキングから

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檀一雄さんの長男、檀太郎さんと奥様の晴子さんが『完本 檀流クッキング』という本を出している。『檀流クッキング』として出版されていた檀一雄さんの料理本を整理し、発掘した原稿を加味してレシピ集をまとめ、それらの料理を再現し、その料理の写真も掲載されている。この中で、番外としてビーツのサラダが紹介されている。夏場になると、このサラダがつくりたくなる。ビーツは隣駅前のスーパーでリトアニア産のビーツを買い込んでつくる。

『完本 檀流クッキング』では、かなりの具材を入れているが、わたしは簡略化して、玉ネギ、人参、セロリ、リンゴとビーツの組み合わせにする。これにマヨネーズ、フレンチドレッシング、サワークリームを適量入れ、今回はレシピにある白ごま(すりゴマ)を少量入れてみた。ゴマを入れることでコクが出ることがわかった。

ポルトガルに過ごした先達として、檀一雄さんは気になる存在である。檀一雄さんの故郷である九州福岡の柳川に3年ほど前初めて出かけたが、その堀を巡らされた街を小舟で巡りながら、何か不思議な懐かしさや既視感のような感情が芽生えたことを思い出す。この小舟からの眺め、経験は、過去の遠いどこかの世界で体験したことのあるような不思議な感覚であった。それがなぜなのかはわからないが、そうした感覚を感じたのは日本ではこの柳川しかない。

一度街を歩いたり、暮らした後に懐かしさのようなものを感じることはあるが、それでもそう数多くはない。日本では、地元以外では那覇(首里)や金沢、飛騨高山や神戸、奈良など、海外ではパリ、リスボン、ロンドン、グラナダ、ローマ、エクサンプロバンス、イスタンブールなどだろうか。

こうした街の懐かしさと同様、壇一雄さんのレシピには日本だけではないが昭和期と同時代の記憶が封じ込められているせいだろうか、まだ食べていない料理であっても既視感があるのが不思議だ。檀一雄さんのレシピがすべてそろっているような料理屋ができればよいのにといつも思っている。

by kurarc | 2022-07-31 21:58 | gastronomy(食・食文化)