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『自分のためのエコロジー』 甲斐徹郎著を読む

甲斐徹郎さんの『自分のためのエコロジー』を読みました。

ちくまプリマー新書シリーズのこの本は、10代の世代に書かれた本だと思いますが、その内容は平易でありながら、建築家が考えなければならないエコロジカルな思考が簡潔にまとめられている良書だと思います。
甲斐さんが自立型共生あるいは環境共生にたどりついたプロセスについてもよく理解でき、特に個人から出発すべきというエコロジーの考え方や沖縄の備瀬の集落から学んだという「個」から「街」へという思考についても共鳴しました。

私も20年以上前にこの備瀬の集落を訪れ、集落の根源的なあり方を感じるとともに、海に接する集落のあり方に対し考えさせられました。備瀬の集落は海に面した集落でありながら、海に対してフクギの防風林を敷地のまわりにめぐらすことにより閉じた景観を形成しています。
海に対して開かれた環境をつくろうとする現代の建築家たちの感性とは明らかに対立する集落のあり方と言えます。
しかし、海に対し閉じた集落のあり方の中には、環境に対する注意深い思想が包含されているということを甲斐さんは気づいています。
この本から感じることは、建築が単体として美しさをつくりだすという在り方は過去のものとなったということです。我々がまず実行すべきことは、自然環境との連関を取り戻すということ、それをまず個人のレベルから始めるということの重要性を認識するということなのでしょう。(写真は備瀬のフクギ並木。樹皮からとれる黄色い染料はまさに沖縄の色)
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by kurarc | 2007-04-01 22:32 | books