カオス・シチリア物語 再見

ちょうど一年程前にブログで取り上げたタヴィアーニ兄弟監督による「カオス・シチリア物語」を観られずにいたが、やっと今日、3時間あまりの映画を再見できた。
やはり久しぶりに観ると、いろいろな場面が昔と違ってみえてくることを改めて感じた。今回特に印象に残ったのは、第4話レクイエムとエピローグであった。

第4話は、村の墓地を建造する話である。地主は墓地の建造は、自らの土地の浸食行為にあたることから許そうとしないが、村人達は一芝居を行い、墓地を確保する。生きる場所と死ぬ場所の同一性、そのことに固執する人間達。この短い話から感じられることは、都市における死についてである。この映画に出てくる村を都市と置き換えてみよう。我々の生きる都市は生きる場所ではあるが、そこは死ぬ場所であるのだろうかという問いを突きつけられているようだ。

エピローグはこの映画の原作者であるルイジ・ピランデッロの実生活での苦悩が描かれている。母(亡霊)とピランデッロ(子)の会話がよい。そして、あの名場面、白い軽石の山(イタリア・リバリ島)から子共たちが蒼い海に向かって駆け下りていくシーンには改めて感動した。
最後に、この映画の音楽(ニコラ・ピオヴァーニ)も光っている。

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by kurarc | 2008-05-18 22:55 | cinema