2020年 02月 26日 ( 1 )

エリック・サティ Vexations(ベクサシオン)

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エリック・サティがパリ南郊外のアルクイユに住んでいた、ということを知り、ますますサティに興味をひかれるようになった。さまざまな理由はあるのだろうが、彼はパリ郊外から列車で、あるときは歩いてパリの中心へと通い、また4本の煙突のある寝ぐらに戻っては音楽を創作していた。

そのサティのピアノ曲を日本でいち早くとりあげ、演奏してきたのはピアニストの高橋アキさんである。近々、生の演奏を聴く機会をもつことになった。わたしはあまりピアノ曲のCDをもっていはいないが、高橋アキさんのサティの曲を録音したCD2枚は昔からもっていて、愛聴していた。なぜこのCDを買ったのか思い出せないほど昔に購入したものである。(1979~1988年に録音されたもの)

このCDの中で、最近特に注意深く聴いているのは"Vexations(ベクサシオン)"という曲である。フランス語で「いやがらせ」といった意味だそうで、52拍のパッセージを840回繰り返すもの。演奏時間は18時間以上にもなる曲で、高橋さんのCDでは、CDに収録できる最大限の時間を使い、13分31秒収録している。

この曲は、サティが20世紀になり考え出した「家具の音楽」(最近では「調度音楽」と訳される)の前触れと言われている。(秋山邦晴氏による)宇宙空間の中で静かに演奏されるにふさわしい中性的で無色な音楽。ただ、淡々とパッセージが反復されて終わる。といっても、本当は18時間聴き続けなければならないのだろうが、そうなるともはや曲を聴くというより、環境の中に曲が存在しているという、まさに「家具の音楽」というにふさわしい。

文化人類学者の山口昌男さんもサティの初期の発見者の一人。山口さんがなぜサティを見出したのか、その辺りにも興味がある。それにしても、高橋アキさんの生演奏が今から楽しみである。

by kurarc | 2020-02-26 21:26 | music(音楽)