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カテゴリ:nature( 97 )

蝶と食草

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沖縄の学校を数多く見学してきたが、沖縄では蝶のオオゴマダラ(上)の食草であるホウライカガミ(下)を学校の生け垣に植え、この蝶を保護していることが流行っているという。

このような流行は沖縄だけでなく、全国の学校でも流行らせてほしいものである。わたしが知らないだけで、他の日本の学校の生け垣には、昆虫の食草を植えることを積極的に行っているところも数多くあるのだろう。

興味深いことは、ホウライカガミは毒があって、それをオオゴマダラが食べることで、オオゴマダラは毒を蓄え、自らの個体を外敵から保護しているらしいこと。これは人間にもいえることなのだろう。

オオゴマダラの蛹(さなぎ 下))は黄金色に輝いているという。

*22年前、あるいは24年前だったと思うが、斎場御嶽に行った帰りに蝶の大群に遭遇したことがあった。これはきっとオオゴマダラであったに違いない。

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by kurarc | 2019-06-03 14:03 | nature

黄金分割は美しいか?

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最近、You tubeをよく利用する。この中では、大学、あるいは大学院の授業よりもためになると思われる講座が数多くある。特に、音楽に関して多くのことを学ぶことができるが、たまたまジェネラティブアートの講座に出くわし、巴山竜来氏というジェネラティブアートの本(上)を出版した数学者の講義が目についた。

その講義の中で、「黄金分割は美しいか?」といった解説があり、興味深く聴講した。建築の世界では、イタリアの建築家ジョゼッペ・テッラー二の「ダンテウム」のなかに登場する黄金分割が有名だが、たとえば、ある絵画の中に、あるいは構図の中に黄金分割が潜んでいる、というような場合、厳密に小数点以下5桁、6桁までを我々は把握し、美しいと言っているわけではない。

巴山氏は、それを数学者らしく、代数式に置き換えて理解する方法を提示していた。

黄金分割(黄金数) φ=1+1/φ 

を満たす数φである。このとき、φは、自らの定義の中に自らの数を含む、再帰性をもつ数である。上式の右のφに1+1/φを代入していくと、無限に1とφが連続するような数式(連分数)が描ける。このことは自己相似性へとつながるような数を意味していることになる。いうまでもなく、自己相似性は自然界の中に潜む数学の代表的な法則といえるものである。

感覚的に美しいと思うものも、実はその中に美しさを証明するような数式が潜んでいるということだが、そう言われても、やはり美しさとは何かについて理解できたとは思えない。そもそも「美しい」という言葉を人間はなぜつくったのだろう?

「美しさ」は時代により変化する概念でもある。よって、22世紀頃になれば、「美しさ」も変化することは目に見えている。少なくとも「普遍的な美しさは何か」を問うことは間違った問いだといえるのだろうが、22世紀の人間も、春の桜や秋の紅葉を美しい、と思うのだろうから、そこには何かがあるはずであるが・・・



by kurarc | 2019-05-17 23:11 | nature

「キムリア」保険適用

キムリアが保険適用されることになったという。白血病を患う患者さんにとっては朗報なのだろうが、こうしたガン免疫遺伝子治療がガンに確実に効くかというと、どうも疑わしいものらしい。さらに、副作用の羅列をみると、この薬、治療法を使おうと考える患者さんを尻込みさせるような症状が膨大に並んでいるのである。

副作用の一つは、サイトカイン放出症候群と呼ばれるもので、腫瘍を攻撃するサイトカインが正常細胞まで攻撃してしまうというもの。微熱、高熱ほか意識障害や呼吸困難他の副作用が現れるという。

副作用のもう一つとして、重篤な神経系事象が現れるという。精神や脳、神経の不調による症状、錯覚、幻覚ほかの副作用が現れる可能性があるという。

その他、血球減少、低ガンマグロブリン血症、感染症、腫瘍崩壊症候群などの副作用が列挙されている。

以上のような副作用の列挙はどのような薬による治療にも併記されるものだが、これらが風邪薬の副作用のようなレベルを超えている訳だから、キムリアにより治療を選択するか否かについて、患者さんは相当悩まれるはずである。これらの副作用はキムリアで治療する患者さん一人一人に異なる副作用がでることが予想され、医者もどのような副作用がでるのか予測もできないだろうから、正直、「治療してみなければわかりません」と医者から言われることは目に見えていると思われる。

話は変わるが、このような時期になぜ高額な治療薬が保険適用になったのか?もしや、有名なスポーツ選手が白血病になったことと関連しているのではないか、と誰しもが思ったのではないだろうか。そのようなこととは無関係で、偶然だとは思うが・・・



by kurarc | 2019-05-15 21:20 | nature

ブラックホール

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ブラックホールの撮影(上写真)に成功したというニュースが飛び込んだ。最近の天体に関する業績にはめざましいものがある。天体にうといわたしでさえも、天体に興味が引きつけられる。アインシュタインのことばかりが報道されるが、ブラックホールの入門書などを渉猟していると、そもそもアインシュタイン以前の18世紀、ニュートン力学によって、暗黒天体がイギリスの天文学者ミッチェルやフランスの数学者ラプラスによって不完全ながら考えられていた。

今年はちょうどイギリスの天文学者エディントンがプリンシペ島で日食を観察し、「光の曲がり」を観測、一般相対性理論を実証して100年という記念すべき年にもあたるという。ニュートン力学では水星の軌道計算(水星の近日点移動の問題)が正確に計測することができなかったが、重力の概念を物体間の引力から空間の歪みという概念に変換した一般相対性理論により、その軌道計算が正確に算定されることで、20世紀、ニュートン力学はアインシュタインの力学へ転換することになる。第一次大戦の最中にこうした大きな研究、発見をやり遂げたことは特出すべきことだが、一般相対性理論をいち早く理解し、ブラックホールの存在を予言するブラックホール解を発見したドイツの天文学者シュヴァルツシルトは、第一次大戦の犠牲となったことは天文学の進展に大きな損失を及ぼしたに違いない。

はやぶさといいブラックホールの撮影といい、今年は天文学、宇宙から目が離せない年となりそうである。それにしても、ブラックホールとは本当のところどのようにしてできるのだろう?地球を角砂糖1粒の大きさに圧縮していくとブラックホールができるというが、それはなぜなのか?物質と反物質とはなになのか?宇宙の対称性とはなになのか?etc.・・・宇宙に対する興味が膨らむ1年になりそうである。(以上、『ゼロからわかるブラックホール』(大須賀健著)より)

by kurarc | 2019-04-13 19:36 | nature

都市問題としてのシュロの繁殖

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都心部でシュロが急激に繁殖しているという。温暖化の影響により、亜熱帯性の植物であるシュロが越冬できるようになり、野生化しているのだそうだ。また、ヒヨドリがシュロの種を運び、繁殖していると推察されている。

しかし、最も大きな原因は、繁殖しかけたシュロが手入れされず、放置され繁殖してしまっていること、つまり、温暖化という理由よりも、人の自然管理の問題であるということのようだ。

シュロは成長は遅いが、ひとたび大きく成長するとそれを取り除くのに手間がかかり、造園業者からも敬遠される樹木ということである。都市部の美しい自然といわれるものは、実は自然ではなく、人の手が入り初めて美しく維持されるということなのである。
(上写真:国立科学博物館付属自然教育園内のシュロ。都市特有の姿をとどめる教材としてシュロの繁殖をわざと展示している場所。
下写真:じろぼうえんごさく 稀少植物である。)

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*目黒駅から徒歩10分程度、白銀台にあるこの自然教育園は稀少な植物の宝庫であり、見応えがあるが、周辺部が都市化され、車の騒音がひどく、落ち着いて植物を観察できる環境にないのが残念である。その点、地元の神代植物公園は周辺環境には恵まれている。)

by kurarc | 2019-03-31 22:38 | nature

『世界はなぜ月をめざすのか』(講談社ブルーバックス 佐伯和人著) 月について

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「はやぶさ2」が無事着陸に成功したニュースが舞い込んだ。「はやぶさ」が近年大々的に取り上げられ、その影に隠れてしまったのは「かぐや」である。月探査は地球から近い衛星探査ということから、「はやぶさ」に比べて、ロマンに乏しいせいであろうか。

しかし、『世界はなぜ月をめざすのか』(講談社ブルーバックス 佐伯和人著)を読むと、宇宙を知るにはまずは月からがよい、ということがよくわかる。わたしのような宇宙のことをなにも知らない人間が、基本的な事項からよく理解できるように解説してくれている。全体は10章よりなるが、それぞれの分量が適切で、10回の講義を編集したような内容にまとめてある。

まずは、「はやぶさ」がなぜ注目されているのかについてどれだけの人がその意義を理解しているだろう。この著作ではそのことを容易に説明してくれている。このことを理解するためにはまず「分化」という言葉を理解しなければならない。地球や月は「分化」の進んだ天体である。「分化」とは均質なものが異質なものに分かれることであり、地球や月は溶けたマグマが再び固まり、様々な化学組成の物質が誕生している。それと比較して、「はやぶさ」が訪れたイトカワ(「はやぶさ2」であればリュウグウ)は、「未分化な」天体であるということが大きな意義をもっているのだという。太陽系初期の塵が集まってできた天体を維持しているため、太陽系初期にどのような物質が宇宙を漂っていたのかについて研究できると言う訳なのだ。

この書物は、こうした天体に関する用語を具体例を交えて解説してくれる。興味深かったのは、たとえば満月を地球から眺めたとき、よく知られた歌「・・・盆のような月・・・」という表現は、なぜなのか、について解説している箇所である。月は丸いのだから、常識的には中心から周辺に向かって影ができ、地球から観たときも球体として毬のように見えるのが普通ではないか、と著者も考えていたが、現実は平坦な盆のように見える。これは衝効果(しょうこうか)という現象であり、満月のように月に影ができにくい太陽の位置では全体的に明るく見えるために、月は盆のように均質な光の面に見える(月の表面がレゴリスという細かい砂で構成されていることも影響している)。よって、「盆のような月」という表現は、詩的な表現というより、むしろ科学的な表現であったということが理解できるのだという。

このように本書は、初学者でも宇宙について丁寧に解説してくれているために、いつのまにか基礎的な知識を吸収できるように編集されている。「はやぶさ」もよいが、まずは月について知ることが宇宙を知る上での出発点なのだと納得させられる。21世紀は月への開発が進む世紀であるだけに、予備知識としてまずは本書を読むことをお薦めしたい。ブルーバックスはそれぞれ出来不出来に差があるが、本書はその中でも名著と言われる書物になるに違いない。

by kurarc | 2019-02-25 21:54 | nature

月 17世紀 ケプラーの『夢』

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映画『FIRST MAN』を観て、「月」について忘れかけていたことに気づかされた。

2013年12月14日、中国の月着陸探査機「チアンヤ3号」が月着陸に成功しているというが、こうした報道について、わたし自身まったく記憶はない。また、NASAは「月面史跡保護ガイドライン」をすでに定めていて、月面のアポロ着陸地点を歴史的遺産と定め、立ち入りを禁止するという指針だという。メキシコ国境に壁をつくるなどと騒いでいる間に、アメリカは宇宙へのフロンティア拡張を着々と進めているのである。(『世界はなぜ月をめざすのか』佐伯和人著より)

ユートピア物語が海上を舞台とした航海者の漂流譚を発端にもつ(花田清輝)ことから宇宙へと拡張されたのが17世紀である。ティコ・ブラーエの天体観測データと天体運動の整合性を検討したケプラーが、天体運動を円運動から楕円運動であることを導き、地動説は自明のものとなった。ケプラーは『夢』という月旅行の空想科学小説を著し、同時代のミルトン『失楽園』にも影響を与えたという。

20世紀が16世紀、ルネッサンスからマニエリスムに対応するとすると、21世紀は17世紀、ケプラーやスピノザの世紀と対応するのではないか、と勝手に思っている。18世紀が啓蒙主義の時代とするならば、17世紀は一言でなんといえばよいのか(人口に膾炙されたことばとしては、「バロック」だろうか)、わたしにはわからないが、ケプラーのような独創的、先駆的な研究が行われ、次の世紀にその成果が結実していくという過度的な時代であり、21世紀も22世紀にその成果が結実するような時間になるのでは。宇宙(極大)とiPS細胞(極小)のような二つの流れ、つまり円から楕円のように二つの中心が、あるとき一つに結びつくのが22世紀であるのではないか。

それにしても、今年は「月」(あるいは宇宙)についても学習することにしたい。

*日本では現在興味のある井原西鶴や近松門左衛門、関孝和(数学者)も17世紀人である。



by kurarc | 2019-02-20 23:13 | nature

神代植物公園 バラと音楽

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秋のバラの季節、神代植物公園バラ園に出かけることが習慣になってきた。今日は天気もよく、バラは満開。

たまたま午前11時からコンサートがバラ園ステージで行われるということで、演奏も鑑賞。演奏は"TRIO KARDIA"(”KARDIA"とはギリシャ語で「心」を意味するという)という国立音大卒業の女性トリオ。ピアノ、バイオリン、フルートという3人編成。天気がよく、背景に満開のバラを眺めながらの演奏はすばらしく、CDを販売していたこともあり、映画音楽を集めたCDを購入。

どのような曲が入っているのかもわからず購入したが、「ラ・ラ・ランド」や「ロシュフォールの恋人たち」といった大好きな映画の曲が並ぶ。コンサートを聴きながらピアソラの曲をやってくれたら、などと思って聴いていると、アンコールでピアソラのリベルタンゴを演奏。(こうした曲はすでにポピュラーになったことを実感する)

多分わたしの娘のような世代であるから、この世代とは音楽の趣味が合うのかもしれない。ブログで早速紹介しておく。

*バラの写真はフランスのバラ。名は”Destiny"(避けがたい運命)


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by kurarc | 2018-10-28 13:59 | nature

箱根湿性花園

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箱根湿性花園は年に一度は訪れる。植物園であるから、植物を見に行くのであるが、それだけではない。植物を観るだけでなく、あの場所に行くことが目的なのである。単に好きな場所なのである。湿性花園に行くと、常に立ち寄るのはポーラ美術館。昨日はルドン、それにモネの絵画を楽しんだ。こちらも単に好きな場所(建築)であるから立ち寄る。

昨日は快晴。あの場所に行って、ススキが風に揺らいでいる姿を見るだけでよい。揺らぐ音を聞いていると、わたしになにか話しかけているのでは、と思えてくる。空気がきれいなのもよい。冠雪した富士を眺めながら、駿河湾や相模湾を望むランドスケープを感じることも東京のような場所ではできない。

箱根は東京から最も行きやすく、食べ物もおいしく、それに過剰に混雑していないのがよい。今回は小田原を起点にドライブを楽しんだ。小田原も豊かな街で好きな場所である。神奈川は湘南だけでなく、こうした西南部の観光地は捨てがたい。

by kurarc | 2018-10-22 22:05 | nature

サルディーニャ島のマラリア 免疫と遺伝子

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多田富雄氏の著作『免疫の意味論』は難解な書物である。1990年代に免疫学が注目されたとき、この書物はその中で、必須の文献として紹介された。今更ながら読んでいるが、かなり専門的な内容であり、細部にわたって理解することは困難である。

芸術にも造詣のの深い多田氏の著作であるため、章の始めに芸術に関する話題を導入部に述べる箇所が何章かにある。第11章では、イタリアの孤島、サルディーニャ島の文化に触れながら、この島に流行したマラリアについて言及している。

サルディーニャ島はムッソリーニが大がかりな土地改良や湿地の埋め立てを行う第二次大戦前までは、マラリアが流行したという。しかし、島民はマラリアで全滅しなかった。それはなぜか?島民が生き延びた理由は遺伝病にあった。地中海性貧血と呼ばれる血液の病気をもつ島民が多かったため、マラリアが赤血球に侵入することができなかったのだという。

地中海貧血の患者はマラリアに強い抵抗性を示したため、マラリアの流行を防いでくれたということである。サルディーニャの島民は、地中海貧血という病の代償ははらったものの、致命的な病から救われたことになる。

多田氏はこうした歴史的背景から、悪いと思われる遺伝子を排除することの危険性を指摘する。遺伝子操作が注目されているが、こうした歴史的背景を認識しておくことは重要である。今後、悪いと思われる遺伝子を取り除いていくような治療が許可されるようになったとき、人間は思わぬ陥穽にはまりかねない。そのことを十分肝に銘じておかなければならない。



by kurarc | 2018-09-17 20:27 | nature