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カテゴリ:cinema( 188 )

アストル・ピアソラの映画

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年末にル・シネマにて、ピアソラの映画『タンゲディア アストル・ピアソラ』が公開される予定だという。ピアソラの演奏が映画の中でよみがえる。生演奏を聴いたことのないものにとっては、またとない機会となるだろう。

わたしは幸いピアソラのコンサートをちょうど30年前、聴くことができた。わたしの経験したコンサートの中で、ベストのコンサート。このコンサートはライブ盤のCDが発売されているから、いつでも聴くことができる。

以前も書いたとおり、母とともに行った最初で最後のコンサートでもあった。母にあげたプレゼントはこのコンサートのみ。母親の思い出とともに、ピアソラの音楽が頭の中に響いてくる。年末が待ち遠しい。

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by kurarc | 2018-07-03 21:47 | cinema

映画『愛のめぐりあい』 無意味なものの豊かさ

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アントニオー二とヴェンダースの映画『愛のめぐりあい』を再び観た。何度この映画を観ていることだろう。映像と音楽がよい。何かを主張しているわけでもない映画であるが、なぜか引きつけられる。それはなにか?

強いて言えば、詩的言語に富んだ映画だということだろうか。シナリオは物語ではなく、詩であることだ。何かストーリーがあるわけでない。しかし、ないとも言えない。

さらに、舞台となる都市がよい。フェラーラの霧にかすむポルティコではじまる映像がよい。映像とシナリオ、すべてが詩なのだ。官能的な映像もよい。映画監督について語られる最後のシナリオは「建築家」に置き換えてもまったく通じる。アントニオー二の映像のような建築をつくりたいものだ。

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by kurarc | 2018-05-02 23:29 | cinema

映画『グッドモーニング・バビロン』

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ヴィットリオ・タヴィアーニ追悼を兼ねて、映画『グッドモーニング・バビロン』を観る。この映画をなんでもっと早く観なかったのだろうと悔やまれるくらいの力作であった。建築修復を手がけるアルチザン一家の物語。父とその子供たち、7人兄弟の6人目と7人目の末っ子の数奇な運命の物語である。

映画では映画監督D.W.グリフィスを登場させているように、グリフィスとグリフィス率いるハリウッドへのオマージュ(少しの皮肉を込めて)も含まれる。つまり、「映画内映画」である一方、アルチザンの物語を重ね合わせているが、それだけではない。愛(兄弟愛)あり、悲しみあり、別れあり、涙と死(第一次大戦)が描かれる映画である。

映画の中で登場するグリフィスの映画『イントレランス』をわたしはまだ観ていない。この映画を観たものは、必見であろう。そして、グリフィスが嫉妬したというイタリア映画『カビリア』も。

兄弟のアンドレアを演じたジョアキム・デ・アルメイダはポルトガル、リスボン出身の俳優。少し冷静でおとなしげな青年を見事に演じていた。このあたりの配役も光っている。そして、脚本協力はトニーノ・グェッラ。言うことはない。

次は、『太陽は夜も輝く』を観るしかない。

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by kurarc | 2018-04-23 22:13 | cinema

映画『いそしぎ』と映画音楽

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映画音楽が先行して、その映画を観ていないという場合がある。映画『いそしぎ』もその典型的なパターンの一つであった。レンタルでもVHSでしか観ることができない。わたしは幸い、未だにVHSを観ることができる機材を持っているので、借りてきた。まずは、音楽がどのように使われているのかを確かめたかった。冒頭の音楽が素晴らしいのだが、ラストに流れても良さそうな力の入れようで、バランスの悪さを感じた。映画自体は不倫と宗教(信仰と無信仰)を題材にしたラブストーリーである。

この映画で特出されるのは、その舞台、カリフォル二アの海岸である。そして、その海岸に突出するように建設された住宅に目が行った。住宅は木造で、岩を基礎として建ち、全面に広がる広大な海を独り占めしている。こうした建築はその美しい海岸を壊しているとみることもできるが、住宅のスケールなので、許せる範囲なのではないか。

この映画をみたのは音楽のためであった。エリザベス・テイラーが出演するが、残念ながらそのシナリオと彼女の熱演はうまくかみ合っていず、破綻しているように感じた。同じラブストーリーでも、たとえば『ひまわり』の方がより成功していると思われるが、こうしたラブストーリーはわたしは苦手である。

吹奏楽でこの映画のテーマ曲をやりたいと思っているが、この映画を観たことのあるものは相当のシネフィル以外、少ないに違いない。実は『いそしぎ』の意味をよくわからなかったのだが、これは鳥の名前である。海岸に生息するシギで、この映画の中で重要な役割を果たしている。ただ、カリフォルニアには「いそしぎ」は生息していず、「ハマシギ」なら生息するらしいが、映画の題名が「ハマシギ」では、記憶に残るようなタイトルにはならなかったと思う。そのことを知った上で、「いそしぎ」と訳したのかもしれない。

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by kurarc | 2018-04-22 08:46 | cinema

ヴィットリオ・タヴィアーニ 逝く

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映画監督タヴィアーニ兄弟の兄、ヴィットリオ・タヴィアーニが去る15日に亡くなられたという。ご冥福をお祈りしたい。

このブログでも彼らの映画『カオス・シチリア物語』について何度か書いてきた。1980年代の映画で、わたしの中でベスト10に入るすばらしい映画である。1980年代にタヴィアーニ兄弟やアンゲロプロス監督からわたしは映画の奥深さを知ったように思う。映画の楽しさを教えてくれたのもタヴィアーニ兄弟の映画があったからである。

わたしの手元には、タヴィアーニ兄弟傑作選DVD-BOXがある。『サン・ロレンツォの夜』、『父パドーレ、パドローネ』、そして『カオス・シチリア物語』の3枚のDVD-BOXである。こうした高価なDVD-BOXを購入したのは、ほかにビクトル・エリセ監督と侯孝賢監督だけである。つまり、わたしの宝物の一つといってよいDVDである。

彼らの映画は未公開や特別上映などのものが多く、日本でも上映は限られ、いまだに全貌をつかむことができない。困ったことに、DVDも非常に高値がついており、購入に躊躇してしまう。その中でもレンタルで観ることができる『グッドモーニング・バビロン』や『太陽は夜も輝く』がある。久しぶりに彼らの映画を観て、ヴィットリオ・タヴィアーニ監督への追悼としたい。

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by kurarc | 2018-04-17 23:03 | cinema

映画『ラッキー』 無がある、ということ

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ハリー・ディーン・スタントン最後の映画『ラッキー』を観た。演じることを避けるという彼の演じ方は徹底されて、彼のドキュメンタリーをみているような錯覚にまで陥るような映画であった。

ランニングシャツとパンツ一枚の情けない姿をさらけ出し、なにも格好をつけることのない一人の老人の孤独をスタントンは演じていた。

そして、ラッキーは言う。「独り、aloneの語源は、all one(みんな一人)なんだ」と。
また、「そこにあるのは空。無あるのみ」と。

わたしはこの映画で、仏教哲学をユーモラスに学ぶことができた。そして、「無だけがある」ということがよく理解できたのである。

ハリー・ディーン・スタントンに、最後の映画でそのことを教えてくれてありがとうと言いたい。
 

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by kurarc | 2018-04-04 23:14 | cinema

ハリー・ディーン・スタントン追悼

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昨年、ハーリー・ディーン・スタントンが亡くなっていることを最近知った。遅ればせながら、ご冥福をお祈りしたい。

わたしにとって、ハーリー・ディーン・スタントンといえば、映画『パリ、テキサス』である。魂の抜けたような男、不器用な男、男の繊細さ、つまり、男の弱さを見事に演じた。男を描きながら、一方でアメリカにおける家族をヴェンダースは小津映画のように撮影した。これは、ヴェンダースによる小津映画へのオマージュとわたしはとらえている。

以前、この映画について書いたとき、ラストでハーリー・ディーン・スタントン演じるトラヴィスは、車で立ち去っていくが、彼はどこに行ったのだろうか、といったことを書いた。きっと彼はナスターシャ・キンスキー演じるジェーンには二度と会わず、遠いところへ立ち去ってしまったのだろう。そこは日本とは異なるアメリカである。車で3千キロ走ることもできる。そうすれば、もはや、別れた彼女は別の国にいるのも同然だ。

現在、スタントンの最期の映画『ラッキー』が封切られている。これは観たい。ヴェンダースの映画とつながっている気がしてならないからである。

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by kurarc | 2018-03-25 13:07 | cinema

イザベル・ユペールの映画 ELLE

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観なければよかった、と思える映画がたまにある。残念ながら、映画ELLEは、個人的に絶大な信頼をよせる女優、イザベル・ユペールが主演であっても、観なければよかった、と思う映画であった。

彼女がこれほどの汚れ役をやる必要があったのだろうか、と思えた映画であり、そのストーリーも大した内容ではない。彼女は別として、彼女を支える俳優陣もどれも3流俳優としか思えなかった。映画とはこういう場合には取り返しがつかない。最後まで観なければよいのだろうが、お金を払ってレンタルしてきたDVDだから、やはり最後まで観てしまう。

反対によい映画であるかもしれないが、最後まで観ることができない映画もたまにある。それは、あまりにも現代の状況と乖離してしまっていて、現在の視点にたって鑑賞できないような映画である。つまり、風化してしまったような映画である。古い映画だからといって見るに堪えないかというとそういうこともない。『眠るパリ』(1923)のような映画は、今観ても新鮮である。

映画ELLEは、数々の賞も受賞しているらしく、ある層の人々には評価されたのかもしれないが、わたしはダメであった。後味が悪すぎる映画なのである。当分、ユペール主演の映画は観ることができないかもしれない。

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by kurarc | 2018-03-12 20:58 | cinema

映画『レナードの朝』

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ロバート・デ・ニーロ主演の映画をよくみている。映画『レナードの朝』はずっと気になっていたが、観ていなかった。この映画を見る前、この映画は難病を克服した患者の映画、つまり、ハッピーエンドの映画だと思っていたが、そうではなかった。もし、そのような映画であったら、デ・ニーロは出演していなかっただろう。

嗜眠性脳炎(眠り病)に犯された患者たちの映画である。患者たちは、あるとき眠りから覚めるが、そこからがこの映画の優れたところであった。この映画は、単なる難病克服の映画ではない。実は患者たちは、一般市民の隠喩なのである。眠っているのは我々なのである。そうした眠りから覚めたとき、人は真実の姿を把握してしまう。つい最近、日本でもあった出来事である。誰もが、誰かから眠りに誘われているのである。それが権力の姿である。

デ・ニーロの熱演は相変わらずであった。手足、身体の震えの止まらない患者を見事に演じていた。彼は役者のなかの役者のような人。日本人では誰にあたるのだろうか?わたしは少しタイプは異なるが、笠智衆さん、あるいは、田中絹代さんを思い浮かべた。こうした優れた映画を観ると、また次の映画を観たくなる。


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by kurarc | 2018-03-01 23:34 | cinema

黒沢清監督 映画『散歩する侵略者』

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タイトルを見たとき、この映画を観たくなった。原作も同名。原作者は前川知大氏。劇団イキウメを拠点として活動されているという。黒沢清監督の映画を注目するようになったのは、『ダゲレオタイプの女』からである。本当に最近のことになる。生意気なことを言えば、100点をつけたくなるような映画ではないが、90点はつけたい、そういう映画をいつも見せてくれる、それが黒沢監督である。同時代の日本の映画監督で90点をつけたくなる監督は、今のところ、黒沢監督しかわたしは思い当たらない。

映画『散歩する侵略者』は人によって様々なテーマが思い浮かぶだろう。わたしはこの映画が極めて政治的な映画であると思った。ある人は愛をテーマとしていると思うだろうが、わたしには愛をテーマとしているというには少し弱い。この場合、愛はオブラートであり、その中身は政治ではないか?黒沢監督はもちろん、様々なテーマを重ね合わせているというだろうが、わたしには政治映画として強く意識された。

タイトルが秀逸である。我々のまわりには様々な「侵略者」が忍び寄っている。それは、都市の中、日常に潜んでいる。そういう感覚のタイトルである。映画では侵略者は宇宙人となっているが、この映画では映画が進むにつれ、侵略者とは宇宙人ではないことに気がつくのである。そのことが政治映画であるとみなす理由である。残念ながら愛の描き方は今ひとつ稚拙で、説得力に欠けた。そこの詰めが完璧ならば、この映画は日本映画の中で相当な高得点を与えることができそうである。

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by kurarc | 2017-12-25 22:35 | cinema


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