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カテゴリ:France( 19 )

パサージュ・ジュフロワ

ブラタモリにパリのパサージュ・ジュフロワが登場した。興味深かったのは、そのパサージュの地下にもう一つの街路があり、これはパサージュが建設される以前の街路ではないかと考えられる、とのことであった。

このブログでも以前、このパサージュについて書いた(2010年9月26日のブログ)。ブラタモリではホテル・ショパンの中から地下へと入っていったが、このパサージュはここで屈曲していることに特徴があり、その突き当たりにクレヴァン蝋人形館があることで有名である。(グーグルアースで調べた限りでは、現在は蝋人形館という表記が出てこず、図書館と出てくる。)わたしもこの屈曲部が印象的であり、ここで写真を撮影し、それを2010年のブログで掲載している。

このパサージュは鹿島茂氏もお気に入りのパサージュであり、現在でも品良く保存されているという。わたしが初めて訪れた1984年にはかなり寂れた印象であったが、テレビで見た限りでは美しく維持されている。それにしても、今までパサージュの地下にもう一つの街路がある、というような記述は読んだことはなく、ブラタモリも馬鹿にできない。かなり貴重な映像であったことだけは間違いないが、これを見て、馬鹿な日本人が押しかけることがないよう祈りたいものである。

パサージュ・ジュフロワはシュルレアリストにも絶賛されたパサージュとしても知られている。鹿島氏によれば、開発が遅れたことにより、ガラス屋根に微妙な曲面を持つデザインが可能となったことや、街路の幅も広くとったことで、散策していて圧迫感もなく、当時、かなりの人通りで賑わったパサージュであったという。

*このパサージュ・ジュフロワの屈曲部を見事に撮影した写真は、田所美惠子さんの写真集『針穴のパリ』でみることができる。

by kurarc | 2019-02-16 20:41 | France

エッフェル塔 130周年

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ロラン・バルトの『エッフェル塔』を読んで、エッフェルの業績について無知だったことに気づき、早速、3、4冊のエッフェル塔関連の書物をそろえた。その中でも、手軽に読めるものに、倉田保雄氏の『エッフェル塔ものがたり』(岩波新書)という名著がある。この一冊を読むだけで、エッフェル塔についての文化史がおよそ把握できる。

この著書によって、地上およそ300メートルの高さのエッフェル塔を19世紀末に建設することがいかに困難な仕事であったのか、また、エッフェルという建築家であり技術者、研究者がいかに優れた人物であったのかについてもよく理解できた。

エッフェルはエッフェル塔を建設する以前に鉄(錬鉄)の橋の建設により技術(圧搾技術や水力機械の技術とその応用)の蓄積があったことが、エッフェル塔を建設する上での礎になり、バルトに「立った橋」と形容されたエッフェル塔を平均およそ200人という少人数の熟練労働者に建設させた。竣工までに労働者が死亡するような事故もなく、「鉄の魔術師」としての本領を発揮することに成功したのである。

しかし、一方様々な困難も当然存在した。まずは若くして妻を亡くしたこと(5人の子供が残された)、エッフェル塔建設時に労働者のストライキに遭っていること、知識人たちからのエッフェル塔に対する批判etc.あげればきりがないくらいである。そうした困難を乗り越え、エッフェル塔が竣工した折には労働者をねぎらうことを忘れず、かつてストライキを起こした労働者たちは涙を流しながら竣工をエッフェルとともに喜んだという。

エッフェルの家系はドイツ系フランス人である。純粋なフランス人など存在しないと思われるが、こうした緻密な仕事を成し遂げたのは、ドイツ系という血筋も一役かっているのかもしれない。エッフェルの業績はエッフェル塔だけではもちろんない。正月休みを利用して、調べてみたいと思っている。

2019年3月31日、エッフェル塔は竣工130年を迎えることになるから、パリではなんらかの催しがあるに違いない。

*エッフェルの血筋は、ドイツ領アルデンヌ地方に住んでいたジャン・ルネ・ベニックハウゼン(エッフェルの曾祖父)がパリに移住してきたことからはじまる。1711年に結婚したおりに、エッフェル-ベニックハウゼンと改名。エッフェルとはアルデンヌ地方の丘陵の名前「Eifel 」。これをフランス風に「Eiffel」としたのだと言われている。(『エッフェル塔ものがたり』より)

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by kurarc | 2018-12-31 12:37 | France

立体音響の発見 クレマン・アデール

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1881年、パリで開催された「電気博覧会」の出来事である。クレマン・アデールはパリオペラ座のステージに80台の電話送話器を1列にセットし、3km離れた会場に設置された受話器で聴く、という実験を行った。偶然、観客の中の一人がその中から適当な距離に置かれた2台の受話器を左右の両耳で聴くと、あたかもオペラ座の客席で聴いているような立体的な音が聞こえることを発見した。アデールは早速、その現象を記録したという。

この偶然の発見が、ステレオフォニック(立体音響)の始まりとなったのである。人間の耳は二つしかないが、360度、前後、上下といった空間を聴覚し、脳内で認識しているという。こうした認識はサラウンド音響として、前方の左右に設置されたスピーカーから、5.1ch等へと発展する360度のサウンドキャンパスへと拡大されていくことになる。(『サラウンド入門』沢口真生他著)

音とは幽霊である。壁から壁を通り抜けてしまうのだから。音という物理現象を最近探求しはじめたが、これほどありふれた物理現象でありながら、わたしはその科学的根拠についてまったく無知であった。雷はなぜ大きい音(空気の膨張による)がするのかとか、夜間には遠くを走る鉄道の音がなぜ聞こえるようになる(空気の温度差による音の屈折による)のかとか、それらはすべてこの音の物理現象による。

それにしても、アデールのような発見はすべて19世紀に存在している。20世紀はそれらを厳密に発展させただけに過ぎないと思える。21世紀もまた20世紀の発見を進めているだけかもしれない。そう考えると、21世紀には何が発見され、何が22世紀にバトンを渡されることになるのだろうか?

by kurarc | 2018-07-12 22:40 | France

カミュ 晩年の土地 ルールマラン

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カミュは晩年、アルジェリアに帰還したとばかり思っていたが、晩年は南フランスのルールマランという街で暮らしたのだという。(旅するフランス語 2018年3月号より)

1985年にアルジェリアのアルジェを歩いた。アルジェリアへの旅は、オラン、アルジェ、ガルダイヤ、コンスタンティーヌが主に訪れた街である。今から思うと、アルジェは、アフリカというより、どこか地中海ヨーロッパの都市といった趣であったように思う。

カミュが交通事故で亡くなった後、鞄の中にあった原稿が『最初の人間』という自伝的小説として出版された。わたしはこの小説をもっているが、映画『最初の人間』に満足してしまって、未だに読んでいない。

訳者あとがきによれば、最初の人間とは、「経済的にも文化的にも何一つ引き継ぐものがなく、頼れる人間もいないままに自分一人で成長していく人間」であるという。もちろん、誰もが「最初の人間」にはなりえないが、カミュはアルジェリアへの移民としての父親を、また、その先祖を思い出しながらそのような言葉を思いついたのだろう。それは、貧しいアルジェリアに生まれ、知識人として成長したカミュが慎ましやかに語りたかった真実の言葉である。

それにしても、カミュが暮らしたルールマランとはどのような街なのだろうか?カミュの娘さんが、いまでもここで暮らしているという。3月の『旅するフランス語』が楽しみである。



by kurarc | 2018-02-19 23:26 | France

NHK 「旅する〜語講座」が始まる

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NHKの『旅するフランス語講座』を見始めて1年近くになった。昨年までの再放送であったが、今年から新しい講座がはじまる。この講座が良いのは、その名の通り、旅をしながら必要な言葉について取り上げてくれること、文化の紹介に力を入れていることがある。講座を監修する先生方のセンスが特にフランス語講座はよいので、「大人」の文化を知るのに役に立つし、一生懸命に語学を詰め込もうというより、楽しみながら語学を学ぼう、という趣向がよい。

こうした番組は、テキストを買わなくても、ただ見ているだけで楽しめるし、学習もできる。NHKにはたまにこうした優れたプログラムが用意される。わたしの十代の頃は、様々な楽器のレッスン番組、例えば、「ギターをひこう」他があり、日本を代表するギタリストの演奏を毎週1回聴けるという贅沢を味わうことができた。

10月からは、フランス語だけでなく、イタリア語、スペイン語、ドイツ語の講座もできる限り見たいと思っている。(今後、ポルトガル語講座も期待したい)特に、毛嫌いしていたドイツ語を再度挑戦したいと思っている。EUの動向が注目される中、ドイツの状況は目が離せない。ドイツ語は20代後半に一度挫折した経験があるが、フランス語同様、簡単な会話ができるようになりたいものである。

by kurarc | 2017-10-02 11:45 | France

池澤夏樹著『セーヌの川辺』 フランスの景観について

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池澤夏樹さんの活動はいつも気になる。池澤さんを意識するようになったのは、アンゲロプロス映画のシナリオ翻訳者としてだが、その後、沖縄に過ごしたり、フランスに行ったりと、遊民のような彼の生き方に憧れてもいた。

フランスの生活から導きだされたこの著作の内容のなかに、都市景観に関する文章が含まれている。「フランスの景観 アズールとアスマール」という一文である。池澤さんは、結論から言うと、日本のような雑然とした都市ではなく、フランスのような美しい都市景観に共感している。

その理由は、単に美しいから、というだけではない。また、建築物を文化の表現とみる、というフランスの法体系やマルロー法に感心しているだけでもない。

それは、国家のあり方、人がどのように国をおもうのか、を表現していること、フランスの共和国の理念(ドゥブレ)、経済は政治に従属すべきものである、という理念に池澤さんは着目する。日本は全くその逆であろう。フランスのような理念から、広告や看板は都市の美観を損なうものであるならば、当然、譲るべきものとなる。

国が人民のものとならない限り、上のような理念は虚弱なままであろう。しかし、日本は現在ゆるやかにではあるが、景観法の整備を進めつつある。今後、現在の建築基準法と景観法がどのように接点をもち、変革されていくのだろうか?また、フランスの方向性ではなく、第3の方法、方向性のようなものはあり得るのか?

わたしは個人的には、フランスのようになることはない、と思えるから、第3の方法を考えるしかないと思うが、それがどのようなものになるのか、今の時点で全く想像がつかない。

by kurarc | 2016-11-07 23:14 | France

「とってもジュテーム」の真意

日本人が最もなじんでいるフランス語は何だろうか?最近では、お菓子やフランス料理の影響でいろいろなフランス語が流通しているが、「ジュテーム Je t'aime.」すなわち、「愛しています。」という言葉は誰でも知っている言葉の一つであろう。

しかし、この言葉には注意が必要だそうだ。もし、「Je t'aime beaucoup.」(ジュテーム ボク)と言われたらフランス語を知らない日本人はどのように感じるだろうか?直訳すれば、「とても愛している」であるが、フランスでは、「ただの友だち」的好意を意味するのだと言う。恋人関係になる気はないとの警告なのだとか。(『「とってもジュテーム」にご用心』、飛幡祐規著、晶文社より)

フランス語では、過剰な修飾、強調には注意が必要らしい。また、簡素な言い回しでもその真意となると定かではないのだそうだ。「彼(彼女)はやさしい。」と言った場合、日本語では誉め言葉の内にはいると思うが、フランス語では、女性が「彼、ほんとうにやさしいわ」と評したら、やさしいだけで恋人には物足りないというニュアンスのことが多いのだそうだ。

フランスでは純真さはもてはやされない。どうもひねくれた文化らしい。こうしたことがわかってくると、言葉を学ぶことが一段と興味深くなる反面、同時に、注意深く学ばねばならないことがわかる。



by kurarc | 2016-09-21 23:12 | France

外国語を1日で学ぶ

フランス映画や映画のシナリオの理解、さらに、フランス文化に対する興味のため、フランス語を学び始めておよそ8ヶ月が過ぎた。当初予想していた進み具合まではいっていないが、フランス語の先生と月2回学習している。フランス語は、もしかしたら今まで学んだ外国語の中で最も学習しやすい外国語のように思えてきた。

それはなぜか。第1に、多くの学習書、辞書が豊富にそろっていること。そして、その学習書をつくっている著者がフランス文化に対して並々ならぬ愛着をもっていること。第2に、フランス映画、フランス音楽など、語学を学ぶためのサブテキストとなるような教材に事欠かないこと、そして、フランス語文法が非常に洗練されていて、明解であるからである。

8月には、「星の王子さま」をベースにしたフランス語入門書を一通り通読した。そして、この通読をいかに早くできるかが語学の習得には欠かせないように思う。わたしが通読した語学書は157ページであり、この分量であれば1日で読むことができる分量である。つまり、この学習書を1ヶ月かけてこつこつやるのではなく、1日で読み通すことを4〜5回やった方が語学の習得に効果があるように思える。(ポルトガル語、スペイン語、フランス語などロマンス諸語の言語の文法はほぼ共通しているので、一つだけでなく、複数を学ぶことで理解しやすくなる)

以前にもこのブログで書いたと思うが、語学の習得は、なるべく早く言語文法の全体像をおぼろげながらもつかむことが大切である。よって、日本にいて、1年かけて文法を学ぶようなことは避けた方がよい、というのがわたしの持論である。海外に1年いれば、1年間語学漬け状態を維持できるが、日本にいたのでは、それはほぼ望めない。ならば、1日ですべてを学ぶくらいの集中が必要である。全体をつかみ、その後、部分、ディテールを学習していくのである。

語学は1日で学ぶことができる分量の学習書からまずは始めるのがよいのではないか?

*白水社のニューエクスプレスシリーズ、または、言葉のしくみシリーズは、おおむね150ページ前後であるから、これを、1日で読んでしまう。わからなくてもかまわない。それを、少なくとも3回以上続ける。発音の学習は、1日では無理であろう。これは、根気よく続けるしかない。それでも、なるべく早く発音の体系をつかむことが大切である。



by kurarc | 2016-09-03 23:37 | France

NOUGAT NOIR

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フランス語の先生より、「NOUGAT NOIR」(ヌガー・ノワール)をいただく。日本語でいう(黒い)「ヌガー」である。袋には「TENDRE」とフランス語で記されている。「ソフトな、やわらかい」ヌガーということである。

ヌガーというお菓子は日本では最近、あまり食べられることはないかもしれない。wikipediaによれば、もともとはアラブのお菓子(ハルヴァ)であり、それが中国に伝わり、その後、またフランスに伝播、南フランスの名物菓子となったようである。このヌガーの蜂蜜は”Luberon”という土地のラベンダーの蜂蜜が使われている。

蜂蜜とナッツ(フランスではアーモンド)がその主原料であり、蜂蜜がどの程度の割合で入っているか、どのような質の蜂蜜かが質を見極める決め手になるようだ。早速、食後にいただいたが、今までに食べたことのないような素朴なヌガーで、甘さも控えめで美味であった。

お菓子は素朴なものほどよい。

by kurarc | 2016-08-31 20:17 | France

基本語彙の数から

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仏検公式基本語辞典3級4級5級の古本を購入した。5級550語、4級370語、3級750語の計1670語が収録されている。

フランス語に限らず、どのような外国語においても、基本語彙といわれるものは、この程度の数だが、その語彙の各国の関係はどのようになっているのだろうか?フランス語の基本語彙と言われるものと、たとえばイタリア語の基本語彙と言われるものにどの程度の差異があるのだろうか、ということである。

もし、かなりの差異があるのであれば、その語彙がその国の言葉の特徴を表す言葉であることになろう。そうした比較は以外と困難で時間がかかりそうなので、自分で調べてみることはできないが、興味深い。

しかし、およそ基本語彙と言われるものが1500語前後と、どの国においても同一であることも興味深い。まずは、この1500語前後を覚えることが、外国語習得の第一目標になるわけであるが、全くあたらしい外国語を1500語覚えるということは、かなり苦労する。さらに、研究者となれば、この10倍、15000語は習得しているだろうし、3万語以上は頭の中に入っているはずである。

千から万という数字へ飛躍するためには、人並みの努力では足りない。百で終わるか、千で終わるか、また、万という数字まで到達できるか、人はただそれだけのことである。
by kurarc | 2016-07-27 12:57 | France