カテゴリ:建築活動記録( 220 )

" reshape" への道

『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏のインタビュー番組を見ていて、その英語をすべて理解できなかったが、気になった言葉が ” reshape ”という英単語であった。

未曾有の危機に突入した現在、最も深刻なのは、生活の基盤の瓦解であろう。飲食店は休業を余儀なくされ、ミュージシャンたちは演奏する場を奪われる等々、生活を支えることができなくなっているのである。

こうした状態を受け、我々は生きるための新しい方策を考えなくてはならなくなることは目に見えている。そのキーワードの一つが” reshape ”なのではないか、ハラリ氏のインタビューを聞き、そう感じられた。

それでは、” reshape ”とはなにか?日本語にすれば、「つくりかえること」、「新しい形に組み替える」ことである。例えば、それを職業で考えてみよう。われわれは普通一つの職業に固執している。飲食店の経営者が困るのは、その一つ職業で勝負しているからである。一つの道を歩いて行き、その道が分断された状態、閉鎖された状態が今日の状況であろう。

それでは、仮に、同時に複数の道を歩くことを想像してみてはどうか?一つの道がだめであれば、もう一方の道から打開策を探っていく。端的にいえば、リスクマネージメントなのだが、こうした困難な時代に、我々は複数の道を同時に歩くような戦略が求められているのかもしれない。それが、各仕事の分野でどのようなことになるのか、それは各分野の方々が知恵を絞って考えるしかない。

by kurarc | 2020-04-17 14:44 | 建築活動記録

食と防災

仕事で練馬市役所に行った時、市役所に『食と防災』という小冊子があったので、いただいてきた。50ページほどの簡素な小冊子であるが、役に立つ内容が豊富で、参考になる。その中で、基本的な心がけの項目をメモしておこう。

01)大災害の場合、水が止まり、普及するまでにおよそ30日はかかるという。水の備蓄(3リットル/1日1人)ほか、給水所から水をもらい、運ぶための道具(リュック、カートなど)を用意しておくこと。

02)料理をつくり、それを保温するために、大きめの発砲スチロールのボックスを用意しておくこと。そうすると、その中に料理をいれておけば、4〜5時間保温できる。

03)調理しても汚さない調理ができる道具をそろえておくこと。包丁のかわりにキッチンハサミを使う。(まな板を使わない調理)皿にラップをして使い、皿を汚さないようにする。アルミホイルで調理し、そのまま器として使用する。クッキングシートを使い調理し、調理用語を汚さないようにする。キッチンペーパーで食器などを拭き取る等。
(災害時のためには、使い捨てられる道具、割り箸や紙皿などを用意しておくことがよいのかもしれない)

04)耐熱性のあるポリ袋を用意し、たとえば、その中に米と水を入れ、沸騰したお湯の中に25分間入れておけば、ご飯が炊ける。よって、耐熱性ポリ袋を用意しておくこと。

05)野菜の乾物(切干大根、乾燥わかめ、乾燥野菜など)など、保存性のよい野菜を用意し、ビタミンを補えるようにしておくこと。

06)そのまま食べられるものを用意しておくこと。クラッカー、シリアル、缶詰、チョコレート、羊羹、ドライフルーツなど。

最近は、コーヒーもペーパーフィルターで淹れる方が多いと思うが、防災のことを考えると、コーヒー好きの方はインスタントコーヒーを用意しておいた方がよいだろう。

07)常温で保存できる野菜(ジャガイモ、玉ねぎなど)は常に切らさないよう常備しておくこと。

08)可能であれば、家庭菜園をつくっておくこと。

09)カセットコンロ+ガスボンベなどの用意しておくこと。(わたしはメタという山用品として流通している固形燃料を用意している。)

以上





by kurarc | 2020-04-12 19:13 | 建築活動記録

病院のプランについて  編集可能なプランへ

新型コロナウイルスが感染指定病院だけでなく、一般病棟までを巻き込みはじめた。こうした状況の中で、病院のプランについて再考することが早急に求められる。

感染病棟をもつ病院で、独立した棟になっていること、かつ、その病棟までの動線が自立していれば、大きな問題は起きないと思われるが、こうした動線を一般病棟のなかにつくられるように再編しなくてはならない事態がおきているのである。

つまり、今後、一般病棟を設計するような場合でも、様々な動線を組み替えられるような病院のプランが必要になってくるということだろう。このようなプランをつくる上で、頭に思い浮かんだのは、昨年訪れた金沢21世紀美術館のプランである。

こちらは美術館であるが、その企画展示ごとに、美術館内に様々な経路を組み替えられ、動線を用意できるプランになっている。こうした建築の考え方を病院設計の中に組み込み、現在のような非常事態に備えることが必要である。エントランスについても、2〜3通りの組み替えができるようにしなければならないだろう。

こうしたプランをつくるためには、病院の敷地に余裕がなければできない。病院の立地の選定も重要になってくると思われる。われわれ建築を専門とするものにとっては、この事態のなか、このくらいの提言しかできそうもない。

by kurarc | 2020-04-05 17:40 | 建築活動記録

緑園都市 手すりを構造材にした階段

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久しぶりに緑園都市を訪れた。こちらに訪れることが目的ではなかったが、およそ30年前にこの駅前計画に携わったものとして、通り過ぎることはできなかった。

わたしが担当したビルは看板で埋め尽くされ、かなりショックを受けた。これも商業建築の宿命か。

最上階にデザインした手すりを構造材としたメンテナンス用の階段(上写真)だけがわたしを救ってくれたように思う。ここだけは、なにも手がつけられず、竣工当時のまま残っていたからである。

この計画から学ぶこと(反省すべきこと)は数多い。建築のプロポーションについて、建築と時間について、商業建築の残酷さについても考えさせられる。やはり、代官山のヒルサイドテラスのように、クライアント(オーナー)の品格が建築には必要だということだろう。

by kurarc | 2020-03-21 22:29 | 建築活動記録

マンモス建造物

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以前、マンモスハウスについてこのブログで書いた(2013年9月11日のブログ) 。昨晩、やけに検索件数が多いと思ったら、ロシアでの発掘の報道があったからであった。

モスクワ南500キロあたりで発見されたマンモス建造物は円形で、直径9mほどであるという。およそ25,000年前の氷河期のもので、マンモス60頭(の骨)が使用されてつくられたものだという。(上写真、CNNより借用)

今回、この建造物の内部で火が使われた形跡はあったが、人が居住した痕跡はなかったようだ。住居ではなかった可能性が高いという。

以前、ブログで、日本でもこうした動物の骨で建造物をつくった可能性は否定できないのではないか、と書いた。日本も今では森林資源の豊富な国土であるが、一部の地域では木材のない地域もあったのである。数千年ではなく、数万年単位でものを考えると、今までの常識とは全く異なる文化、生態が発見できるのでは、と思う。

by kurarc | 2020-03-18 19:24 | 建築活動記録

大倉山 20代で担当した集合住宅

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仕事で横浜の大倉山に行った。何十年ぶりだろうか。多分、25年ぶりくらいだろう。

20代の頃(確か26歳くらいか)、エステック計画研究所に勤務しているとき担当した大倉山の集合住宅が気になり、立ち寄った。まだ、あるのか、もしかしたら解体されていないだろうか、と不安な気持ちもあったが、意外にもよくメンテナンスがなされ維持されていた。

ローコストの集合住宅である。基本的にはワンルームマンションに近い。ドライエリアのある地下があり、現在は歯医者が入っていた。表の看板のつけ方はこうなってしまうのか、といった設置方法。これも止むを得ないのか・・・

全体的に、金物の塗装や外壁の塗装などよくメンテナンスがされていて、丁寧に使用していただいているようなので安心した。築35年ほど経過しているが、そのようには見えない。クライアントの方の努力に感謝したい。

by kurarc | 2020-03-02 20:27 | 建築活動記録

「相続から考える持ち家の活かし方」セミナー+相談会 終了

本日、東京都行政書士会、三鷹市、三鷹市空き家等対策協定団体、東京都行政書士会武鷹支部共催による上記イベントに参加、無事終了した。

セミナーの中では、定期借家、リバースモーゲージローン、居住用財産3000万円控除ほかについて、我々の団体、東京建築士会多摩ブロック南部支部からは、空き家をどのように活用するのかの様々なケースについて会員の植本俊介氏より発表が行われた。

後半、相談会ではお一人であったが、空き家の相談業務に対応した。空き家をお持ちの方々はそれぞれの事情があり、複雑であるが、その中から最適解を導き出さなくてはならない。我々はそのような難問を建築のデザイン、プランニングなどから一つ一つ丁寧に解いていくしかない。

こうしたセミナー+相談会は三鷹市として初めての試みであった。多くの人数は集まらなかったが、それぞれ異なる分野の士業団体の講演を聞くことができ、非常に有意義なセミナーであった。

今後もできるだけ、他の士業の方々との連携を深められればと思っている。

by kurarc | 2020-02-09 16:24 | 建築活動記録

イベント参加 『相続から考える持ち家の活かし方』

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東京建築士会多摩ブロック南部支部が三鷹市と空き家に関する協定を締結して初めてとなるイベントが行われる。そのイベントに相談者として参加することになった。

空き家問題は、地方都市ではかなり深刻なようで、空き家問題はむしろ地方の活動に学ぶことが多いが、三鷹市においても空き家はもちろん存在し、その相続、利活用などに苦労されている方も多いはずである。

そうした方々にすこしでもお役に立てればと思う。三鷹市民であればどなたでも参加できるので、興味のある方々は是非、ご来場いただきたい。

by kurarc | 2020-01-28 15:46 | 建築活動記録

迎賓館見学

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迎賓館を見学した。多分、20年ぶりくらいだろうか。市ヶ谷から新宿までの散策していたが、見学者が目に入り、見学することに。

設計者は片山東熊。わたしのような世代にはもはや歴史的人物であり、リアリティーが持てない。建築自体はよく設計され、内部の装飾も優れている。わたしは「彩鸞の間(さいらんのま)」という、明治天皇が大正天皇のためにつくった部屋が最も興味深かった。ここは、昭和大修理のとき、建築家の村野藤吾さんが、天井の青い色彩を白く変えてしまったという。このあたり、今でも論議があるようだが、オリジナルの青に復元する方がよいのではと思う。

装飾は、様式建築(ネオ・バロック)の中に、アンピール様式を取り入れた部屋、いわば、ナポレオンの神話を取り込んだ部分に日本的モチーフが組み込まれていたりと非常に手が込んでいる。こうした装飾を引き立たせることもあると思うが、廊下部分は基本的に白一色に塗りつぶされている。この建築や装飾には詳しくはないので、また別の機会に触れたいが、もう一つ興味深いのは、この建築がカーネギー社の鉄骨をふんだんに使用されているということ。そうした部分は、隠れて見ることができない。我々のような建築を専門とするものは、そうしたところを見学したいのだが。

さらに、もう一つ気になったのは、前庭の松の植え方である。グリッド状に配列されているように見えながら、微妙にズラされ、ランダムに配列されているように見える。しかし、何か法則性がありそうである。この松の配置を決めたのは誰なのか気になる。そして、こうした植え方は日本的でないと思われるが、そこがよかった。

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by kurarc | 2020-01-04 18:28 | 建築活動記録

大仕事

かつてない規模の実施設計がもうすぐ収束を迎える。本来ならば2名でやるべきではあったが、わたし一人でやり通した。

近隣説明+中高層審査から景観審査、福祉のまちづくり条例、省エネルギー検討など規模が大きくなると、実施設計図面を描くだけでなく、役所仕事が3倍、4倍に膨れ上がる。何度役所に通いつめたであろうか。

近隣の方々は良心的な方々ばかりであったので、非常に幸運であった。今回は周辺が住宅地であるので、この中で新築工事を行うことは神経を使う。改めて、建築を設計するという仕事の難しさを思い知らされる。

苦労する仕事の時には以前にも書いたように、ブルネッレスキという建築家の生き様を思い出す。現在、ガウディーに関する本を読んでいるが、彼も苦労人である。彼は31歳という若さであのサグラダ・ファミリア教会の仕事を得る。この仕事は、聖ヨセフ信仰教会という狂信的な超保守集団の仕事であった。この仕事を引き受けたのは相当の覚悟が必要だったはずである。

建築以外の仕事をしたことがないので、わたしは他の分野の方々がどのような苦労をしているのかわからない。それぞれの分野、それぞれの立場で様々な苦労があることだろう。それを一つづつ乗り越えた先に、今までに経験したことのないような素晴らしい仕事に巡り会えるかもしれない。それを期待しながらやり続けるしかない。

by kurarc | 2019-08-28 00:19 | 建築活動記録