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中谷礼仁著 『セヴェラルネス 事物連鎖と人間』を読む

中谷礼仁さんの著作『セヴェラルネス 事物連鎖と人間』は非常に興味深い内容を包含した都市・建築論である。その射程の奥行きも広大であり、かつ様々な中谷流の都市・建築に対するするどい批評、解釈は目から鱗が落ちるものばかりである。

たとえば、著書の第3章『建築職人ウィトルウィウス 弱い技術』では、まず建築家として人口に膾炙されているウィトルウィウスに疑問を投げかける。ウィトルウィウスの『建築書』を精確に読み解けば彼が建築家ではなかったことが明らかにされる。さらに、ウィトルウィウスの文章から、ローマ人の「具体的で豊穣な技術知」を読み取り、ギリシャ建築との決定的な差異が明らかにされる。砕石や煉瓦による小規模な物質によるローマ人の工法は「弱い技術」と命名され、「弱い技術」をローマが保持していたがゆえ、そのことが様々な地域において都市の建設に柔軟に対応でき、あの一大帝国の拡張に寄与したと解釈される。

また、「弱い技術」と反対に「強い技術」の事例をたとえばメタボリズムの建築の中に読み取る。菊竹清訓設計によるアクアポリスが上海にて解体された事実から、メタボリズムの思想の矛盾が導かれる。その原因を「近代建築家の無時間的な理想的建築」や「全体的企図を時間の変転にゆだるねること」をしなかったことにみる。

以上のような批評、解釈が最もラディカルな建築家たちに直接提示され、相対化されていく文章の力量は並大抵のものではない。時間と都市・建築との関係が根源的に思考された希有な書物である。

P.S.:9月21日、池袋の東京芸術劇場大会議室にて、中谷礼仁氏をお招きし、講演会を開催することになりました。詳しくは後日、このブログにて紹介いたします。
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by kurarc | 2007-07-31 23:25 | books

フィリッパ・ジョルダーノの声を聴く

シチリア島パレルモ生まれのフィリッパ・ジョルダーノのデビューCDが最近のお気に入りである。このところ車の中で、自宅でと一日中聴いている。
ベルリーニ、サン=サーンス、プッチーニといった作曲家の歌劇の曲が収まったこのCDは、聴いていてなんとも心地がよい。実は歌劇などについては全くの素人。しかし、彼女のCDを聴くと、歌劇がすばらしいメロディーの宝庫であることがよくわかる。曲のテンポがスローなことに心安らぎ、様々に変化する彼女の歌声も聴いていて飽きが来ない。
彼女の声は90年代の初めにはやった香港の歌姫、林憶蓮(サンディ・ラム)の声を思わせ、どこか東洋的といってよい響きがある。彼女と同様に活躍するエマ・シャプランの声は美しいが、私には透明すぎて聴いてて飽きてしまう。
CDでは特に2曲目サン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」、3曲目のプッチーニの「トスカ」からの曲がすばらしく、CDを買ったばかりのときは、この3曲目までを何十回も繰り返して聴いてしまった。後半のモリコーネ、サルトーリの曲もすばらしい。
このCDをきっかけとして、今度は本場の歌劇を聴きに出かけてみたくなった。
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by kurarc | 2007-07-26 23:25 | music

東京女子大学レーモンド建築のパネルディスカッションに参加

今日は朝11時から、以前のブログで紹介したパネルディスカッション『なくしていいのか建築文化』-東京女子大学のレーモンド建築を中心に-に進行役として参加させていただいた。
会場には東京女子大学OGの方々をはじめ、予想以上に多くの方々にお集まりいただき、建築保存についての意見交換を行うことができた。
パネルディスカッション終了後、東女レーモンドの会懇親会にも参加させていただき、女子大内のレーモンド建築についての様々な思い出や本の中では知り得ない貴重な情報をお聞きし、OGの方々のレーモンド建築に対する思いの深さを改めて痛感した。
現在東寮が夏休みにも解体されようとしている状況だが、会の方々の建築を残そうという情熱に圧倒されたし、さらにすばらしいと思ったのは、このような会が非常に和やかな雰囲気の中で進められていることだ。大声を張り上げて訴えるのではなく、理性をもって訴えることを貫いている態度に、女子大OGの方々の懐の深さ、歴史の深さを感じた。(下の写真がパネルディスカッションの光景。新宿駅西口ひろばの特設会場)
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by kurarc | 2007-07-21 22:53 | archi-works

鎌倉M-House上棟

今日は、朝早くから新宿へ車を走らせ、今日からはじまる建築ふれあいフェア2007の準備のため、新宿西口広場でパネル展示の作業。その後、鎌倉に車で戻り、鎌倉M-Houseの上棟式へ。

梅雨はまだ明けてはいないが、その合間の雨が上がった大安の日、無事上棟を迎えることができた。2階に上がってみると敷地が山の頂上付近であるため、南に配置したLDKからの眺めは開放感があり、気持ちがよい。今日は曇っていたため望めなかったが、快晴の日には西に富士山を望むことができる。周辺との住宅のバランスもよく、出しゃばった感じのない住宅となりそうだ。天井高さも2200ミリ程度から最高3400ミリ程度とメリハリの効いた室内となる。竣工まであと4ヶ月半ほどだが、これからが正念場となる。
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by kurarc | 2007-07-19 22:35 | archi-works

ダ・ヴィンチの手稿のCG  ポスト ブルネッレスキとして

『ダ・ヴィンチ 天才の仕事』(ドメニコ・ロレンツァ、マリオ・タッディ、エドアルド・ザノン著、松井貴子訳)は、ダ・ヴィンチの膨大な手稿に残されたスケッチの中から32枚をCGで再現したものが集められている。全体は、「空を飛ぶ機械」「武器」「水にまつわる機械」「作業のための機械」「式典の装置」「楽器」「その他の機械」の7つの目次に分類されており、それぞれ緻密なCGによりダ・ヴィンチの手稿が再現された大人の絵本といった著作である。

この著作を観てわかることは、ダ・ヴィンチは先日のブログに書いたブルネッレスキの真の後継者のひとりであるということだろう。ブルネレスキは建築家である前に金細工師ベニンカサ・ロッティのもとで様々な技術を学んだエンジニアであった。ブルネッレスキは特に機械工学を学び、時計を制作しているし、サンタ・マリア・デル・フィオーレの現場では砂岩や大理石を何十メートルも引き上げるための牛力巻上げ機やカステッロ(櫓)と呼ばれた起重機を発明し、建設に役立てている。ダ・ヴィンチとブルネレスキの接点については、たとえばサンタ・マリア・デル・フィオーレの頭頂部に銅製の球体を設置したのは、ダ・ヴィンチが学んだヴェロッキオ工房だったことからもわかるし、アトランティコ手稿には、ブルネッレスキの機械の観察について多く書き残されていることからも明らかである。ダ・ヴィンチの業績が優れているのは、ブルネッレスキらの機械工学を受け継ぎ、さらに飛躍した発明を行い、それを手稿に絵と文章によって記述した点にあると言えるだろう。

ダ・ヴィンチの手稿は35歳から描きはじめられ、死ぬまで32年間の間書き続けられた。その緻密な表現がペンと紙と文字という最小限の手段によって実現されていることに驚きを隠せない。
(手稿のひとつ、レスター手稿はビル・ゲイツが1994年に購入しているとのこと。下のCGはアトランティコ手稿の自走車)
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by kurarc | 2007-07-17 01:20 | books

鎌倉文学館企画展「澁澤龍彦 カマクラノ日々」 へ  

今日は、鎌倉文学館の企画展『澁澤龍彦 カマクラノ日々』が最終日ということもあり出かけて観てきた。鎌倉文学館を訪れるのはもう1年ぶりくらいかもしれない。玄関のところで風呂屋のような下足入れに靴をいれて内部を靴下のままで見学するスタイルは何かほっとする。鎌倉らしいのんびりとした文学館である。

澁澤龍彦の著作を多く読んでいるわけではないが、『快楽主義の哲学』では、「幸福ではなく快楽を」という彼の思想に興味をもったし、大学院時代には『胡桃の中の世界』で立方体の意味を教わり、建築家の磯崎新さんの立方体をつかった建築との比較論のレポートを書いたことを思い出す。

澁澤龍彦は、かつての鎌倉文化人の中では現在最も興味をもつ作家であることは間違いない。彼のエッセイのスタイルは、私の愛読書である花田清輝の『復興期の精神』に通ずるものを感じるが、展示会にあった彼の交友関係の中には、花田の名前はなかった。稲垣足穂、石川淳、種村季弘など澁澤と交友関係をもった作家の著作と合わせて、今後は澁澤の小説なども含めじっくり読んでみたい。
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by kurarc | 2007-07-08 17:11 | 鎌倉-Kamakura

建築保存のパネルディスカッションのお知らせ

7月21日(土)11時より、新宿駅西口イベント広場コーナーにて、「なくしていいのか建築文化」 - 東京女子大学のレーモンド建築を中心として- と題するパネルディスカッションを行うことになった。私は進行役としてお手伝いをさせていただく。

このイベントは社団法人東京都建築士事務所協会と新宿区の共催による「建築ふれあいフェア2007」の会場を提供していただき、特別に開催されることになった。通常は物産展などが行われている雑踏の中でのパネルディスカッションとなるが、それだけに興味をもっていただいた方々が立ち寄って参加していただけるとありがたいと思っている。
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by kurarc | 2007-07-07 17:53 | archi-works

JIA神奈川地域会 模型展示会終了

7月1日、JIA神奈川地域会 建築WEEK2007の模型提示会が無事終了した。どの程度の方々に見学していただいたかはわからないが、それぞれ個性的な建築の模型展示会になったと思う。テーマとなった建築の公共性については建築家によってかなりとらえ方が異なっていたように思うが、興味深い模型を数多く観ることができ刺激になった。
(写真は私が展示した南伊豆の住宅「杉小舎スギゴヤ」と名付けた模型)
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by kurarc | 2007-07-02 00:13 | archi-works


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