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横光利一著 『琵琶湖』を読む

最近は大船から横浜まで電車で行く間のような細切れの時間に、iPhoneとiPodに取り込んだ青空文庫の小説や随筆を楽しんでいる。

今日は横光利一著の『琵琶湖』という随筆を読む。今までこのような随筆は聞いたことがなかったので、家に帰ってから横光の『欧州紀行』(講談社文芸文庫)と筑摩書房の現代文学大系の『横光利一』の巻末の年譜を調べてみたが、この随筆の名前は出てこなかった。内容からすると、彼の晩年、といっても横光は49歳で亡くなっているので、40代に書かれたものと推察する。

とはいえ、この随筆は横光の幼少の頃の大津の記憶をつづった名文である。「思ひ出とはいうものは、誰しも一番夏の思ひ出が多いであろうと思う。・・・」という文章から始まるこの随筆は、横光が小学生の頃過ごした大津での記憶、特に琵琶湖を灯籠をかかげた船で対岸の唐崎まで行く夏の夜景の記憶、琵琶湖の祭りの記憶の重要性を描いた随筆である。横光によれば、その記憶は「暗夜行路ともいうべき人の世の運命を、漠然と感じる象徴の楽しさなのであろう。」として、そうした象徴性をもつ記憶の強い「整理力」(横光の言葉)をたたえている。

一方、横光は都会の夏、特に夏の夜の楽しさについても書いていて、大人になってからの変化についても書いているのだが、それは、幼少の頃の夏の夜の記憶と連続していることをほのめかしている。

横光の随筆が私にとって興味深いのは、琵琶湖という水の文化、空間から広がる夏の夜、船、灯籠、提灯といった事物を手掛かりとした空間論、都市論を書いているからである。横光が幼少の頃味わったような感応的(あるいは官能的)な都市の経験は、歴史(記憶)と文化のある街でなければなかなかできなくなったが、こうした経験は幼少の頃には夏休み(盆休み)という特別な時間の中での経験であったのだ。

大人になってもヨーロッパ人のように1ヶ月くらいの夏休みがあれば、子供の頃味わったような初々しい記憶を生み出すことはできるのではないか、と思うが、残念ながら日本ではなかなか望めそうもない。
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by kurarc | 2010-06-22 22:21 | books

日常の中のデザイン05 LAMY2000 L401

ラミー2000L401という4色ボールペンを使い始めて3年くらいになる。すでに2本目を使っている。黒いレジン樹脂のボディは意外にもろく、落としたときにネジの元から折れて使用不能になってしまった。

そうした欠点はあるものの、この4色ボールペンは非常に使い心地が良く、2本目を買った。喜ばしいことに、アマゾンでおよそ半額になったことも買い換える要因のひとつとなった。

4色ボールペンは、このラミー2000以外では、通常のパイロットなどの4色ボールペンを買い求めるしかない。こうしたボールペンでは、わざわざ替え芯を買い、使い続けようというモチベーションは上がらない。

ラミー2000を使いよくするには、一工夫が必要で、ラミー製のインクを使わずにパイロットのインクBRF-8Fを使用することである。この技は伊東屋の方から教えてもらった。ラミーのインクは使いものにならないが、この点、パイロットのインクの書き味は快適である。

こうした技はどうも常識のようで、アマゾンでこのラミー2000を見ると、替え芯として上記のものを買っていることがわかる。

4色を現在、黒と赤を仕事(スケッチなど)の色として、青と緑を仕事以外の趣味やメモの色として活用している。今度は落とさないように大切に使い続けたい。

*追記:その後、このボールペンを使っての感想だが、2、3年で壊れてしまう。デザインは良いが、内部の芯の取り付け、芯をプッシュする機能に問題があるようだ。残念ながら、あまりお薦めできる製品でない、というのが現在の結論である。(2013/12/22)
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by kurarc | 2010-06-18 20:40 | design

二つの伝統工芸品のデザインを提出

本日、伝統的工芸品フォーラム事業の一環で、Studio K+Tとして、二つの伝統工芸品のデザインを作り手の方に提出。

デザインにかける時間は十分でなかったが、コンセプト(文書、図面)とモデリングなどをpdfデータで提出。7月の初めまでに採用不採用の通知をいただくことになる。どちらかでも採用されることを期待したい。

今回の提案によって、伝統工芸品という何百年もの歴史のある文化を改めて考える機会をいただき、大変よい勉強になった。日本のものづくりの奥行きの深さ、懐の深さを痛感する2週間であった。
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by kurarc | 2010-06-17 23:58 | Studio K+T

ヨウコ・ハルヤンネのトランペット

トランペットの先生から教えられたフィンランドの名トランペッター、ヨウコ・ハルヤンネのトランペットの音色に最近とりつかれている。ジャズのトランペットの音色になれていることもあるが、ハルヤンネのトランペットの音色は全く別物といった観がある。

紹介するCD『フェスティーヴ・トランペット』では、まず2曲目のラフマニノフのヴォカリーズがよい。クラシックのトランペット曲は大きく華麗な曲と叙情的な曲に分けられるが、このCDでは、彼の育った北欧の叙情的な曲が印象に残る。グリーグの春やノルウェー民謡、さらにスウェーデンの作曲家リンドベルイのダラーナ地方の古い賛歌は、エスノ・クラシック音楽といえるような響きを奏でている。

ハルヤンネの音色に耳慣れてしまうと、ジャズとクラシックの領域で活躍するウィントン・マルサリスのトランペットの音色も汚く思えてしまうほどだ。

ハルヤンネの使用するトランペットはV.バックースパーダ社製。アメリカのヴィンセントバック社のトランペット部品をスイスのスパーダ社(バック社のチューニングメーカー)が組み立て仕上げたトランペットである。ハルヤンネの音色の良さを支えるのは、スパーダ社の緻密な作業の賜物と言えそうである。
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by kurarc | 2010-06-11 21:41 | trumpet

映画『夏の庭』のサントラ

お茶の水のカザルスホールが閉館したという。室内楽を奏でるのにはちょうどよいスケールのホールであっただけに残念である。学生時代、カザルスホールにはよくお世話になった。学生は当日券に限り千円のチケットを発売していたからである。特に、著名なクラシックギタリストのコンサートにはよく足を運んだ。

相米慎二監督の映画『夏の庭』のサントラは、ブラジルのギタリストであるアサド兄弟によるが、この映画のサントラを中心としたコンサートもこのカザルスホールで聴いた。会場には相米監督もいらしていて、印象深いコンサートとなった。

改めてサントラを聴くと、アサド兄弟の映画音楽にかける意気込みには驚かされる。映画音楽として、1分から4分あまりの短い曲であるが、22曲もつくっているし、そのどれもがすばらしく、ひとつひとつが曲というより詩になっているといっていい。

この映画を再度観たいと思っているが、レンタルビデオ屋では置いていない。こうした隠れた名画は商品として成立しないためにDVD化されていないからである。来年は相米監督の没後10周年となる。そのとき、相米監督の特集がどこかの映画館で組まれるのを待つことにしよう。
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by kurarc | 2010-06-08 22:54 | cinema

大船の記憶

大船は、旧鎌倉生まれの人には全く興味のない街であるかもしれないが、私は最近すっかり観光地化された鎌倉駅周辺より、庶民の活気が残る大船界隈の方に興味がある。

私の祖父母の家が大船の柏尾川沿いにあったこともあり、大船は思い出深い街でもある。東京生まれであったこともあり、子供の頃、横須賀線で大船の観音様がみえてくると田舎にやってきたなあ、という感慨がこみ上げてきた。鎌倉住まいになってからはすっかり観音様にもなれてしまったし、護岸工事によって緑豊かだった柏尾川川岸の風情がなくなってしまったことは残念である。

祖父は、この大船で手作りの折り箱店(中村折箱店)を営んでいた。アジの押し寿司で有名な大船軒の杉材による弁当箱や和菓子屋の菓子折の製作を行っていた。アジの押し寿司は、今ではプラスチックの折り箱になり、弁当の包み紙を開いても、杉の香りは漂ってこない。今後はエコの観点からも、杉材による折り箱を復活させる可能性はでてくるかもしれない。

大船は現在、駅前にパチンコ屋などが並び、若い人を刺激するような店に乏しいことは確かだが、少しづつおもしろい店が増えつつあるように思う。私にとって縁のある土地だけに、この大船界隈を少しでも活性化するような仕事や活動ができればと思う。近くには女子大もあり、学生を巻き込めば、新しい大船のまちづくりのヒントも浮かび上がってくるのではないか?どのような様相の街でも、誰かが愛情をもって関われば、きっと変化していくはずである。
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by kurarc | 2010-06-06 11:58 | saudade-memoria

天童木工東京支店ショールームへ

今日は天童木工東京支店ショールームへ、ガラステーブルの協働設計者である東宮氏と展示状況を見学に行く。3階のエレベータを下りた右の奥に、ガラステーブルは展示されていた。(下の写真・背後にモンローチェアがみえる)実は、完成品の前段階は見ていたのだが、完成品を見るのは両者とも初めてのこと。

完成したガラステーブルに天童木工の金属のプレートが打ち込まれており、改めて天童木工の商品をつくったのだという実感がわいてきたと同時に、完成された商品は、天童木工らしい丁寧な工作と精度のよい仕上がりになっていたことは喜ばしかった。あとは、多くの方々に御利用頂けることを願うばかりである。

その後、OZONEで開催された伝統的工芸品活用フォーラム事業に参加する。全国から集まった伝統工芸の作り手とそれを活用して新しいデザインを生み出そうとするデザイナーらの交流会である。我々としては二つの伝統工芸品に目を付け、プレゼンテーションを進める方針とすることを決めた。

家具だけでなく、伝統工芸品というプロダクトデザインにも積極的に参加し、伝統工芸という国内で閉じた商品をインターナショナル、トランスナショナルな商品として流通できるようなデザインを目指していければと思っている。
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by kurarc | 2010-06-04 21:54 | catenaria-ガラステーブル


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