夏になると観る映画がエリック・ロメール監督『海辺のポーリーヌ』である。ちょうど今の季節の海辺でのコメディー+恋物語であるが、今回観ていて気になったのは、この映画に登場するマティスの絵画、『ルーマニア風ブラウス』(1940)である。映画の中の色彩は、この絵画の色彩が参考にされ、さらに、ポーリーヌの身ぶりの中に、この少女のポーズが(偶然に?)再現された。
野獣派として知られるマティスであるが、この後期の作品には、その荒々しさも遠のき、身体は線と色彩によって単純にとらえられ、イラストに近い表現に変化している。そのせいで、身体の重さは消え去り、身体は模様の中に溶け込み、色彩の明るさとこの女性の内面の明るさが一体となっている。
2004年に国立西洋美術館で開催された大々的なマティス展に、この絵画も含まれていたのだと言う。この展覧会を見逃したのは痛かった。早速、古本でこの展覧会のカタログを捜し、注文した。
マティスの生まれは北フランス(ル・カトー=カンブレジ、ノール県)であるが、その色彩は、地中海の光を思わせる。とにかく、マティスが気になる。最近、フランス文化に興味が集中しているが、そして、また、マティスもフランス人なのであった。
# by kurarc | 2016-08-09 23:41 | cinema(映画)